第461章 今日は許すつもりはない

「すみません、ちょっとよろしいですか。」

声を聞いて、狭山一美は振り向いた。

まるで漫画から抜け出したようなお嬢様がゆっくりと歩いてきた。

一点の曇りもない真珠のような白いロングコート。

まるで光を放つような精緻な顔立ち。

これは林知恵の他に、狭山一美が見た二人目の比類なき美しさを持つ女性だった。

木村悦子は誰かが来たのを見て、すぐに弁当箱を置き、口と手を拭いた。

「こんにちは、もう診療時間は終わっています。」

女性は少し眉をひそめ、困ったように言った。「急にお腹が痛くなって、上司からあなたに助けを求めるといいと聞いたんです。」

彼女はお腹を押さえ、唇が少し白くなっていた。

狭山一美は親切に言った。「まずは座ってください。」

「ありがとうございます。」

女性はゆっくりと座った。

木村悦子は患者が苦しんでいるのを見て、当然助けないわけにはいかなかった。

パソコンを開いて状況を尋ねる準備をした。

狭山一美は彼が忙しいのを見て、すぐに言った。「じゃあ、先に行くね。知恵に着替えを持ってこなきゃ。」

「うん。」木村悦子はうなずき、パソコンの画面を見つめた。

女性は視線の端で狭山一美をさっと見た。

……

病室で。

林知恵は付き添い用の小さなベッドに横たわり、漫画の第一話を開いた。

画面が表示された瞬間、彼女の顔は赤くなった。

今の漫画はこんなに直接的なのか?

画面には、禁欲的な雰囲気の主人公の男性がバスタオル一枚を巻いてバスルームから出てくる姿が描かれていた。体からは水滴が垂れていた。

タオルは湿って体に張り付き、少し透けているような感じに描かれていた。

要するに、中央部分以外はほとんど見えていた。

主人公の美しい顔には不機嫌な表情が浮かんでいて、その表情は宮本深に少し似ていた。

体つきも……

林知恵は指で画面をスクロールし、そのタオルの部分を見つめた。未知の領域。

彼女は続きをめくり、狭山一美がよく言う「社長様に恋をした」的な展開を予想していた。

ところが次の瞬間、主人公の男性が縛られていた!

ちょっと待って!

章がスキップした?

林知恵はもう一度上にスクロールしたが、間違いなく同じページだった。

さっきまで厳しい表情をしていた男性が、今はヒロインに両手を縛られ、漆黒の瞳に感情が揺れ動いていた。