第475章 これこそが命を守ること

「本当に？」

宮本深は深い眼差しで林知恵を見つめた。

「うん、どうしたの？」林知恵は不思議そうに尋ねた。

「私はまだ補う必要はないと思うけど」

「何を補うの？」

林知恵は困惑した表情で宮本深を見た。

宮本深はテーブルに少し体を寄せて林知恵に近づいた。

「これは羊の焼肉だよ…」彼は二人だけが聞こえる声で言った。

「羊…あれも食べられるの？」

子種の袋！

林知恵は目を見開いた。彼女は唇を噛み、落胆してメニューを置いた。「あなた、私がここで食べたことないって最初からわかってたでしょ？」

「いいや」

誰が信じるものか！

林知恵は歯を食いしばり、額に手を当てた。地面に穴があったら入りたいくらいだった。

宮本深はにっこりした。

二つのメニューを閉じ、横で待っていたウェイターに慣れた様子で注文した。

すぐに料理が揃った。

林知恵は目の前の食べ物を見つめ、なかなか箸をつけなかった。

宮本深は水を一口飲み、淡々と言った。「君が考えているようなものじゃない。単純な食事だよ、体力をつけるためのね」

特別なものではないと聞いて、林知恵はナイフとフォークを手に取り、食べようとした。

しかし考え直すと、何か変だと思った。

「なぜ体力をつける必要があるの？」

「後でわかるよ」

宮本深はそれ以上話さず、黙って食事を続けた。

林知恵は彼が少し変だと感じた。

食事の後、彼らが武道館に行くまでは。

……

「知恵、本当に習いたいの？」

宮本深は道場の入り口に立ち、もう一度確認した。

林知恵は深く息を吸い、力強くうなずいた。「はい」

「入って」

二人は靴を脱いでマットの上に足を踏み入れた。

宮本深は歩きながら上着を脱ぎ、ついでにシャツのボタンを外した。

林知恵はまだ無邪気な顔で「それで？」と言った。

宮本深は目を上げた。

次の瞬間。

「あっ！」

林知恵は肩越し投げなんて非現実的だと思っていたが、宮本深にあっさり投げられそうになるまでは。

彼が全く力を使っていないことが明らかにわかった。

幸い、彼は本当に彼女を投げようとしたわけではなく、最後は彼女を抱きかかえて一緒に床に倒れた。

宮本深は息一つ乱さず言った。「第一に、十分な確信がなければ、一秒たりとも相手から目を離すな」

「わかった」