第515章 一つのキスで一つの秘密

休憩室。

宮本深と宮本石彦が入室すると、宮本曜介は老人の隣に座っていた。

彼は茶碗を持ち、入ってきた人を見ていたが、立ち上がることなく、わずかに頷いただけだった。

「座りなさい。お父さんはずっと待っていたんだ」

宮本石彦は顔を曇らせ、口を開こうとしたが、宮本深に手で制された。

宮本石彦はようやく宮本深に続いて座った。

宮本曜介は手の茶碗をテーブルに置いた。

「自己紹介する必要もないでしょう。これからよろしくお願いします」

宮本石彦は驚き、上座の老人を見つめた。

「どういう意味だ?これからって何だ?」

「曜介は能力がある。支社では才能が埋もれている。だから本社に呼び戻すことにした。兄弟で助け合えるだろう」

老人は軽い口調で、まるで当たり前のことを言っているようだった。