第50章 暴かれた策略（10）

彼は彼女の懇願を聞いていないかのように、彼女の上に乗せる力を大きく増した。

彼の体の匂いはとても良い香りがした。淡い清香の中に薄いタバコの香りが混ざり、清潔で爽やかな感じを与えるもので、かつて彼女が最も愛した香りだった。

しかし今、彼の体の香りが彼女の鼻孔に入り込んでくるたびに、彼女が感じるのは果てしない恐怖だけだった。

常盤燿子はさっきまで必死にもがいていたため、すでに体力を使い果たしていた。今、彼がこれほど力を加えると、彼女は呼吸さえ困難になってきた。

彼の唇が彼女の首筋に落ち、鎖骨に噛みついたのを感じた。以前の悪夢のような光景が一気に彼女の脳裏に押し寄せ、彼女の体は抑えきれずに震え始め、声まで震えながら言った。「...お願い...こんなことしないで...病気のふりをしたのはあなたにまとわりつくためじゃない...」