有栖川涼の声は大きくなかったが、その口調は鋭く冷淡で、反抗を許さない強さを帯びていた。何が起きたのか分からない部屋中の人々は、瞬時に静まり返り、皆の視線が彼と陸田透真に集中した。
注目の的となった有栖川涼は、周囲の困惑した視線にますます苛立ちを覚えた。
彼は手を上げてタバコを吸おうとしたが、すでに燃え尽きていることに気づき、灰皿に押し付けて消した。手近にあったタバコの箱を取り、振ってみると中は空っぽで一本もなかった。すでに最悪だった気分はさらに悪化し、彼は空のタバコの箱を麻雀卓に投げつけ、勝ち取ったばかりの分厚いチップを一気に押し出し、椅子を蹴飛ばして立ち上がった。「つまらん、もうやめだ」と言い捨て、携帯を手に取り、服を軽く整えて長い足取りで立ち去った。
有栖川涼が部屋のドアを乱暴に閉めてからしばらくして、部屋の人々はようやく我に返った。