第178章 彼女に触れてみろ(8)

足の不自由な大和の部下が、彼女が滞在していた部屋に迎えに来たとき、彼女は本当に恐怖で震えていた。

二時間と約束していたのに、まだ一時間三十七分しか経っていない。もしかして、ビッコの大和は予定より早く彼女を始末するつもりなのだろうか?

彼女は死を覚悟してそこへ向かった。しかし、ドアが開いたとき、彼女が目にしたのは有栖川涼だった……彼女が絶対に来るはずがないと思っていた有栖川涼が。

彼女は自分の目を疑い、何度もまばたきをし、さらに手のひらをつねってみた。痛みを感じて初めて、これが現実だと確信した。

この衝撃を受け止める間もなく、彼の視線が彼女に向けられた。

まずい、彼にこんな大きな迷惑をかけてしまった。彼はきっと激怒しているに違いない。

彼女は怖くなって即座に頭を下げ、息を止めた。