第204章 彼女の待ち望み、空白になる（4）

有栖川涼は「ああ」と声を出し、それ以上何も言わず、再び手を上げてタバコを口元に運んだ。

しばらくすると、もやもやとした煙が彼の鼻から漂い出てきた。

常盤燿子は彼が何も言わないのを見て、自分も黙ったまま、彼の傍を通り過ぎ、タクシー乗り場の場所で立ち止まった。

彼女は正面を見つめ、時々高速で通り過ぎる車がある通りをしばらく眺めた後、ついに勇気を出して振り返り、有栖川涼の方を見た。

いくつかの質問について、彼女はどうしても答えを知りたかった。

彼と彼女はもともと同じ世界の人間ではなく、彼女は和泉沙羅という身分を頼りに彼の側に現れることができたが、常盤燿子は違う。彼女が彼に一度会うのはとても難しく、だから今尋ねなければ、おそらく一生その答えを知る機会はないだろう。

そう考えると、常盤燿子は密かに深呼吸し、顔に笑みを浮かべ、何かを思いついたかのように、さりげなく口を開いた。「あなた、自分の電話番号を間違えて覚えてるんじゃない？」