二人は遠くまで歩かずに、遊園地の入り口に最も近い場所にあるオープンカフェに座っている有栖川涼と陸田透真を見つけた。
執事は常盤燿子を連れてすぐに前に進み、礼儀正しく声をかけた。「有栖川さん、陸田さん。」
有栖川涼は執事の言葉を聞いていないかのように、椅子にだらしなく座り、手には既に消えたタバコを持ち、灰皿の中でゆっくりとひねっていた。
陸田透真は手に持っていたコーヒーカップを置き、顔を上げ、にこやかに執事に微笑んでから、常盤燿子に目を向けた。「沙羅ちゃん、来たの?」
常盤燿子は和泉沙羅が陸田透真を呼ぶ呼び方を真似て、「透真兄さん」と一言言ってから、まだタバコの吸い殻をもてあそんでいる有栖川涼の方を見た。彼が最後まで顔を上げる様子がないのを見て、やっと小声で口を開いた。「こんな遅くに、私をここに呼んだのは、何かあったの?」