第246章 後宮で寵愛を争う妃（6）

有栖川涼が「飼い慣らされた美男子」と常盤颯太を形容するたびに、常盤燿子は心の底から不快に感じた。彼女は眉をひそめ、思わず常盤颯太を弁護し始めた。「彼は美男子でもないし、私が飼い慣らしたわけでもありません。事情はあなたが思っているようなものではなくて、彼は…」

ここまで言って、常盤燿子はようやく気づいた。今の彼女は和泉沙羅であり、常盤颯太が彼女の弟だとは言えないのだ。

彼女は黙り、少し間を置いて、別の説明を考えた。「…ただの友達です！」

友達？友達があんなに親密になる必要がある？彼を馬鹿にしているのか？

その言葉が有栖川涼の耳に入ると、常盤燿子があの男を庇っているようにしか聞こえず、胸の内で必死に抑えていた怒りが一層燃え上がった。

彼は自分がどれほど怒っているか心の底でよく分かっていた。一度怒りを爆発させれば理性を失うことを恐れ、ただひたすら抑え込むしかなかった。これほど自分の気性を抑えたことはなく、抑え込むうちに、胸が生々しく痛み始めた。結局、彼は彼女の姿から目をそらし、別の方向を見つめた。しばらくして、ようやく動揺した気持ちを落ち着かせ、長テーブルに歩み寄り、手を伸ばして一つ一つネックレスを取り上げて眺め始めた。