第252章 愛とは、例外を重ねること(2)

有栖川涼がまだこの質問の意味を理解していないうちに、彼の向かいに座っている陸田透真は、先ほどの言葉をそのまま繰り返した。今回は疑問文ではなく、断言だった。「涼さん、あなたは和泉さんのことが好きになったんだ」

有栖川涼の心臓は突然鼓動を止めた。彼はまるで静止画のように、表情を変えずに陸田透真をじっと見つめ、しばらくそのまま硬直していた。そして突然「プッ」と笑い出した。「陸田透真、何を冗談言ってるんだ。俺がどうして彼女を好きになるわけがある?」

そう言いながら、有栖川涼はそのネックレスを置き、だらしなくレザーチェアに身を預け、タバコを一本取り出した。ライターで火をつけようとする前に、もう一言付け加えた。「彼女はただのトラブルメーカーだ」

「君は彼女に手を出したよね?というか、かなり前から彼女に手を出していたんじゃないか?少なくとも、あの大雨の日に彼女を迎えにいってフォーシーズンホテルに泊めた時よりも前からだろう?」