第316章 誰が正しくて誰が間違っているのか、重要なのか?(6)

「終わったわ」常盤燿子は頷いて、それから有栖川涼を見た時に浮かんだ疑問を思い出し、また口を開いた。「どうしてここに来たの?」

「君から電話があったからだよ」有栖川涼は常盤燿子の手を取り、撮影スタジオの出口へ向かった。

「え?」常盤燿子は眉をひそめ、彼女と有栖川涼の後ろについてきて、彼女のバッグを持っている高橋静香を振り返った。それから目を上げ、少し離れたところで座り込み、マネージャーにしがみついて悔しそうに涙を流している林怜を見た。突然何かを理解したかのように、軽く「ああ」と声を出した。

「どうしたの?」有栖川涼は横を向いて優しく尋ねた。

「何でもないわ、あの時少し混乱していて、手が滑ったのかも」常盤燿子は有栖川涼に柔らかい声で答え、それから身につけている時代劇の衣装の裾を引っ張り、続けて言った。「メイクを落として着替えないといけないの。先に行く用事があるなら、それとも...」