第325章 トラブルメーカー、子供を作ろう（5）

高橋静香はあわてる様子もなく、ゆっくりとダイヤモンドがちりばめられた爪をいじりながら、和泉沙羅が考えをまとめるのを待っていた。

10分ほど経っても和泉沙羅がまだ決断を下さないのを見て、高橋静香は考えた末、再び口を開いた。「こうしましょう。あなたは身元がバレないようにしっかり身を隠して、シネマパレスに来てください。有栖川涼とあの貧乏娘は映画を見ているから、2時間後くらいに出てくるでしょう。彼らが一緒にいる様子を自分の目で見れば、もっと危機感を感じて、私の提案を受け入れるかもしれませんよ」

今回の和泉沙羅は、すぐに返事をした。「わかりました」

電話を切ると、高橋静香は携帯を助手席に投げ、手を上げて、ここ数日考えすぎて痛くなっていた頭をさすった。

彼女は考えた。沙羅ちゃんは自分の提案を受け入れるだろうか？この提案は少し極端すぎるのではないか？沙羅ちゃんの感情に逃げ道を残していない。