彼の小さなトラブルメーカーが彼を探しに来たのだ……少しずつ闇に覆われていく意識が、彼女のそんな一言一言の確固たる言葉によって、徐々に引き戻されていった。
「みんなが彼を見捨てたけど、私は見捨てられない。私まで見捨てたら、本当に彼の面倒を見る人はいなくなってしまう」
「あなたたちが行きたいなら行けばいい。私は行かない。一日見つからなければ、ここに一日いる。二日見つからなければ、ここに二日いる。一生見つからなければ、一生ここにいる……私は彼を絶対に諦めない……だって私は彼に言ったから、彼にはまだ私がいるって……」
有栖川涼の胸の中が突然暖かく、熱くなり、それに伴って彼の目も酸っぱくなり始めた。
「彼の遺体を見つけない限り、私は諦めない。彼の遺体を見ない限り、彼はまだ生きている可能性がある」