第412章 トラブルメーカーであって、和泉沙羅ではない(2)

喋々喋々と話していた高橋静香は、突然その場で固まった。

彼女は口を開きかけたが、言葉を発する前に、常盤燿子はすでにお金を彼女の手に押し込み、スーツケースを引いて部屋を出ていった。

彼女のものであるお金は、彼女が持っていく。

彼女のものでないものは、一銭も余分に取らない。

最初に和泉沙羅の提案を受け入れたのは、父親の借金が一部の理由であり、有栖川涼に近づきたいというのももう一つの理由だった。

8年前に彼女が有栖川涼に心を奪われたにせよ、8年後に彼女が有栖川涼のところで身を捧げたにせよ、それはすべて彼女が心から望み、甘んじて受け入れたことだった。

彼女はいかなる同情も必要とせず、いかなる補償も必要とせず、さらには高橋静香の嘲笑と侮辱を伴った攻撃も必要としなかった。彼女は和泉沙羅が有栖川涼の妻であることをよく知っていたので、彼らが元に戻ろうとしたとき、彼女は名残惜しく思いながらも、一瞬の躊躇や迷いもなかった。