第436章 私は一つの未来しか思いつかない(6)

陸田透真はここまで聞いて、完全に理解した。「つまり、あの日、もしあなたが二人の男の子を助けていなかったら、彼女と会えたということですか?」

この時の有栖川涼は、普段よりも反応が数拍遅く、しばらくしてから、とても小さく「うん」と返事をした。

友人として、陸田透真は有栖川涼を慰めるべきだと分かっていたが、何を言えばいいのか一時的に分からなくなり、しばらく沈黙した後、ようやく口を開いた。「君はきっと後悔しているんだろう」

「後悔じゃない……」有栖川涼の言葉は途切れ途切れだった。「……ただ、とても悲しいんだ……実は私は岸に上がることもできたんだ。でも、あの男の子が死ぬのを見過ごすことはできなかった。自分の状況では、助けに行ったら上がれなくなるかもしれないとわかっていた……」