常盤燿子は一瞬ぼんやりとして、庭の方を見ると、家の扉が開いたままになっていた。玄関からの暖かな黄色い光が家の中から漏れ出し、その光を頼りに、彼女は明かりのついていない広い庭に誰もいないことをかすかに確認した。
深夜の高級住宅街は、静まり返っていた。
常盤燿子は門の前に長い間立ち尽くしたが、誰も出てきて門を閉める様子はなく、彼女の眉間にはしわが寄った。
もしかして今日は管理人がいないのだろうか?そうでなければ、こんな夜更けに家の扉も庭の門も開けっ放しにしておくはずがない。
彼はあれほど酒を飲んで、一人で大丈夫なのだろうか?
常盤燿子は体の横に垂らしていた手をゆっくりと握りしめた。中に入りたいと思ったが、あまり勇気が出なかった。長い間葛藤した後、彼女は目を閉じ、深呼吸をして、ようやく勇気を振り絞り、足を上げて静かに有栖川涼の別荘の庭に入った。