「会社があなたを選んだのは、きっとあなたの長所があるからです。自分に自信を持つべきですよ。」
安藤若菜の目に驚きの色が浮かんだ。
彼女は雲井陽介が恩返しのために彼女を採用したのだと思っていたが、そうではなかったようだ。
彼の決断ではなかったと知り、安藤若菜はほっとして、肩の荷が少し軽くなった気がした。
「それでは今、私があなたを食事に誘ってもいいですか?」雲井陽介は彼女に尋ねた。彼の言葉は軽い冗談ではなく、本当に彼女を食事に誘っていたのだ。
安藤若菜には断る理由がなかったので、同意した。
彼女は、雲井陽介も感謝の気持ちから食事に誘ってくれたのだろうと思った。一度おごってもらえば、今後はお互い借りがなくなり、仕事での付き合いもより自然になるだろう。
雲井陽介が選んだ場所は、静かで有名な中華料理店だった。