安藤若菜は何も言わず、リビングに戻った。
連続して二日間、藤堂辰也は帰ってこなかった。安藤若菜は毎日外に出ようとしたが、やはり出ることができなかった。
彼女は別荘にいたくなかったので、藤堂辰也に電話をかけて、外出の許可をもらうことにした。
彼の番号に電話をかけると、男は彼女の声を聞いて非常に驚いた様子だった。
安藤若菜は単刀直入に言った。「外に出かけたいの。あなたから彼らに許可を出して」
電話の向こうで男は淡々と笑いながら尋ねた。「出してやってもいいが、君の態度次第だな」
「出すも出さないも勝手にして!」安藤若菜は電話を切った。彼と条件交渉などしたくなかった。
条件交渉をすれば、損をするのは彼女だけだ。もう彼と愚かに交渉したりはしない。
リビングでつまらなくテレビを見ていると、夕食の時間になり、安藤若菜はメイドが用意した料理がテーブルに並べられるのを見て、すぐに立ち上がって一杯のご飯をよそって食べ始めた。