あの日公園で雲井陽介に会って以来、安藤若菜は公園に行く勇気がなくなった。彼女は仕事を探し始めることにした。過去の苦しみに打ち負かされることはない、何があっても、人生は続いていくものだから。
しかし二日後、雲井陽介がまた現れた。今度は彼女の家の前だった。
彼を見て、安藤若菜は驚いた。「雲井さん、何か用ですか?」
男性は真っ白なシャツを着て、端正な顔に優しい笑みを浮かべていた。そんな彼は、女の子が思い描く白馬の王子様そのものだった。
以前なら安藤若菜は彼を見ると心臓がドキドキしたが、今はもうそうではなかった。
彼女の心はとっくに死んでいたので、もう心臓が高鳴る感覚はなかった。
「ちょうど君に用があるんだ。今から一緒にクライアントに会いに行こう」
彼の唐突な言葉に、彼女は全く理解できなかった。