安藤若菜は突然、安藤心の存在を思い出し、藤堂辰也を少し押しのけながら、瞳を輝かせて彼に言った。「心が少し怪我をしているの。先に病院に連れて行ってくれない?」
「大丈夫よ!」安藤心は慌てて叫んだが、自分の感情が激しすぎることに気づき、小さな声で続けた。「少し怪我をしただけで、若菜ほど深刻じゃないわ。病院には行かなくていいの」
「でも……」安藤若菜が心配そうに何か言おうとすると、安藤心は微笑みを浮かべて言った。「本当に大丈夫よ。ただ少し眠れる場所が欲しいだけ」
藤堂辰也は中にいる女性をちらりと見て、淡々と言った。「行こう、まず送っていくよ」
安藤心は困ったように言った。「ホテルに送ってもらえない?家には……帰りたくないの。家族にこんな姿を見られたくないから」
二人とも顔が赤く腫れていて、確かにこの姿では人前に出られない状態だった。