「安藤さん、あなたの姿勢が間違っています。手と足の協調ができていません。まずは足のキックの練習をしましょう。キックができるようになったら、腕の水かきを練習しましょう」
安藤心が反論しようとしたとき、藤堂辰也が突然彼女の方を向いて笑いながら言った。「安藤さん、利田コーチの方法はとても良いですよ。頑張れば、きっとすぐに泳げるようになりますよ」
「……はい、頑張ります!」安藤心は笑顔で頷いたが、男性が背を向けるとすぐに笑顔は消えた。
藤堂辰也の前で自分のわがままな一面を見せないように、彼女は仕方なく利田コーチの指示に従い、プールの壁に向かって上の手すりをつかみ、体を水面に浮かべ、ぎこちない姿勢で、まるでバカのように足のキック練習をした!
一方、藤堂辰也は安藤若菜の腰を抱え、彼女に仰向けになるよう求め、基本動作を教えていた。