第291章 必ず這って出ていけ

藤堂辰也は軽く頷いた。手術室から運び出される安藤若菜を見て、彼女の青白い顔色を目にした彼は、心の中の激しい感情を抑え、身を翻して大股で立ち去った。

車を走らせてメディアンに到着すると、彼はドアを開け、大股で中に入った。

バーの中では、数え切れないほどの男女が狂ったように酒を飲み、踊っていた。

彼の登場は、すぐに多くの人の注目を集めた。

「イケメン、一杯おごってくれない？」

女性が近づいて声をかけてきたが、彼は容赦なく手で押しのけた。女性は床に倒れたが、彼はまばたきひとつせず、彼女を一瞥することさえしなかった。

前方で数人の男が彼の行く手を阻んだが、彼は同じように傲慢に彼らを押しのけ、彼らの怒りを無視した。

彼の目には誰も映らず、どんな声も聞こえていなかった。

誰かが後ろからボトルを持って彼を殴りに来たが、彼は突然振り返って一蹴りを放った。その人は飛ばされ、テーブルを壊して倒れた。

残りの数人が四方八方から襲いかかってきたが、彼は一撃で一人を倒し、容赦なく凶暴に攻撃した。場内は水を打ったように静まり返り、誰もが息を殺し、彼の威圧感に圧倒されていた。

藤堂辰也はタバコに火をつけ、深く一服した後、ゆっくりと最も近くにいた男の前に歩み寄った。

彼は男の右手を踏みつけ、力を入れると、骨の砕ける音が響いた。

男の上げた悲鳴に、周囲の人々は恐怖で固まった。

藤堂辰也はタバコを床に捨て、見下ろすように男を見て、冷淡な声で言った。「俺の機嫌が悪いって知ってて、まだ俺に絡んでくるとは、命が惜しくないのか？」

「……」彼がどうして辰也の機嫌が悪いことを知っていただろうか。

藤堂辰也は自分の言葉がどれほど傲慢であるかなど気にもしていなかった。彼は床に伏せている数人の男を見て、少し考えてから言った。「こうしよう、お前たちはここから這って出て行け。そうすれば今回は見逃してやる。どうだ？」

彼の言葉は疑問形だったが、交渉の余地は全くなかった。これは露骨な脅迫と恐喝だった！

数人の男たちは死んでも屈しないという表情を浮かべ、逃げ出そうとしたその時、笑いを含んだ嘲笑の声が突然響いた。

「おやおや、辰也さまが這って出ろと言ってるのに、お前たちはまだ感謝もしないのか？」