第300章 安藤若菜はまだ生きている5

録音された自白を手に入れ、その中の証言を聞いた藤堂辰也は口元を少し上げ、冷たく残酷な笑みを浮かべた。

部下の一人が彼に尋ねた。「ボス、今すぐ証拠を警察に渡しますか?」

「今はまだいい。警察に渡したら、彼らを簡単に済ませてしまうだろう。あの三人をしっかりと『もてなして』おけ。あまり快適に過ごさせるなよ」

「はい、承知しました」

藤堂辰也はまた冷たく笑った。安藤心についても、彼女をゆっくりと苦しめ、十分に痛みを味わわせるつもりだった。

安藤心は以前、強さんたちに上田軍を探すよう手配していた。まずは彼がどれだけ知っているかを探り、もし知りすぎていたら、口封じのために殺すつもりだった。

しかし一晩中電話を待っても、強さんからは何の連絡もなかった。

昨夜は一睡もせず、日中も神経を張り詰めていた彼女は、夜明け前に疲れて眠気に負け、ベッドで少し眠ってしまった。

夢の中で、安藤若菜が目を覚まし、彼女を殺人罪で告発する姿を見た。そして警察に連行され、死刑判決を受ける夢だった。

安藤心は恐怖で目を覚まし、体を起こすと全身が冷や汗でびっしょりだった。

すでに明るい朝になっており、彼女はまず携帯電話を確認したが、不在着信もメッセージも何もなかった!

あいつらは何をしているんだ、仕事が全然できていないじゃないか!

安藤心は仕方なく強さんに電話をかけたが、電源が切られており、誰も出なかった。

彼女は一瞬呆然とし、他の二人にも電話をかけたが、同じく電源が切られていた。

彼らの間には約束があった。電源を切らず、常に連絡が取れる状態にしておくことだ。なぜ突然電源を切ったのだろう?

安藤心は不吉な予感がした。

彼らは捕まったか、逃げ出して、この厄介事を彼女一人に押し付けたかのどちらかだ!

どちらの場合も、彼女にとっては非常に不利だった。

これからどうすればいいのだろう?

安藤心は外出する勇気がなく、一日中ベッドに座って携帯電話を見つめていた。

彼女の前には二台の携帯電話があった。一つは皆が知っている番号のもの、もう一つは強さんたち三人だけが知っている番号のものだ。

彼女は電話が鳴ることを期待すると同時に、鳴ることを恐れていた。

10086(キャリアサービス)からのメッセージでさえ、彼女をびっくりさせた。

とにかく生きるか死ぬかは、今日次第だった。