七月と八月は、最も暑い時期だ。
それなのに夏目望が彼女と会う約束をしたのは、ちょうど太陽が最も強い昼時だった。
白い小型車がレストランの外に停まり、安藤若菜が中から出てきて、車のドアを閉め、素早くレストランの中に駆け込んだ。
冷たい空気が顔に当たり、外の灼熱を追い払うと、彼女は思わず心地よく緊張を解いた。
夏目望はすでに窓際に座って彼女に手を振っていた。彼女は笑いながら近づいて座った。
「おや、すごいじゃない、もう車の運転ができるようになったの」彼女が座るとすぐに、夏目望は冗談めかして言った。
「つい最近免許を取ったばかりよ」安藤若菜は微笑んだ。
二ヶ月前、彼女の足が回復したばかりの時、藤堂辰也は彼女に運転を教えると提案した。しかし彼女はあまりにも不器用で、長い間学んでも上達せず、最近やっと試験に合格したのだった。
運転ができるようになるとすぐに、藤堂辰也は二人乗りの小さな車を彼女にプレゼントした。
彼女はこのモデルの車が大好きで、白色も気に入っていたので、今では外出するときはほとんど自分で運転していた。
夏目望は彼女の幸せそうな顔を見て、思わず手が痒くなって彼女の頬をつまんだ。「まあ、最近はかなり充実してるみたいね?桃の花のような顔色で、額に『私は幸せです』って書いてあるようなものよ」
安藤若菜は笑うだけで何も言わなかった。彼女は確かに幸せだった。
藤堂辰也は彼女にとても優しく、二人は毎日楽しく過ごしていた。こんな生活こそ彼女が望んでいたものだから、当然幸せだった。
「もう笑わないで、これ以上笑うと私、嫉妬しちゃうわ。だめ、もう嫉妬してる。今日はあなたがおごりよ、食べ尽くしてやるんだから!」夏目望はわざと顔を引き締めて言った。
安藤若菜は相変わらず明るく笑った。「どうぞ、好きなだけ食べて、私が貧乏になることはないわ」
「ふん、お金持ちの夫を見つけるとやっぱり違うわね!」
彼女は藤堂辰也のお金を使っているわけではなく、自分のお金だけでも使い切れないほどだった。
夏目望だけが思いつくことだが、真夏の昼間に火鍋を食べるなんて。
他の女性なら絶対に付き合わないだろうが、安藤若菜も好きだったので、二人は楽しく食事をした。