チケットを買い、ポップコーンとコーラも買って、彼らは映画館に入り、席を見つけて座った。
このアニメーションは子供たちに非常に人気があり、今日は初日上映だったので、会場は満席だった。
観客の70パーセントは子供たちだったが、子供に付き添って来た大人もいた。
彼ら二人だけが子供を連れていない大人で、そのため少し浮いていた。
映画が始まる時、安藤若菜は後ろの10歳くらいの少女に向かってこっそり言った。「席を交換してもらえませんか?」
少女は一人で来ていた。彼女は若菜の隣にいるハンサムなおじさんを見て、考えもせずに頷いて同意した。
藤堂辰也は彼女が何を言っているのか分からなかったが、彼女が立ち上がって彼の前を通り過ぎようとするのを見て、彼は彼女の手を引いて尋ねた。「どこに行くの?」
若菜は力強く彼の手を振り払い、答えなかった。
すぐに彼は答えを知ることになった。彼女は後ろの列の少女と席を交換したのだ。
男性は少し顔を曇らせ、後ろの少年とも席を交換しようとした。しかし、少年は一人で来ていなかったので、交換は成功しなかった。
隣の少女が突然彼に笑いかけた。「おじさん、彼女を怒らせちゃったの?」
藤堂辰也は彼女を見た。彼女は大人びた様子で、首を振りながらため息をついて言った。「きっとあなたのことを好きな女の人が多すぎて、彼女が嫉妬しているんだわ。あなたは大変なことになったわね。」
「……」藤堂辰也は言葉を失った。今の子供たちはこんなに早熟なのだろうか?
しかし彼女の言うことは正しかった。確かに他の女性のせいで、彼らの関係はこうなってしまったのだ。
どうやら最初から、彼らの間には常に他の女性の問題があったようだ。
でもこれは仕方のないことだった。彼があまりにもハンサムで条件が良すぎるため、彼に近づきたい女性が絶えず現れるのだから。
しかしこれからは他の女性はいなくなる。なぜなら彼の心の中には彼女しかおらず、他のどんな女性もいないからだ。
アニメーションは大人の目から見ると、実際とても退屈だった。
藤堂辰也は全く見ていなかった。彼は自分のことばかり考えるか、後ろの若菜のことばかり気にしていた。
やっと終わり、上映室を出ると、彼は彼女にどこで遊びたいか尋ねた。若菜も分からなかったが、あの豪華な檻のような場所に戻りたくはなかった。