彼女は断らず、車で病院に向かった。
病室に近づく勇気はなく、彼女はただ入口から遠くに雲井陽介を見るだけだった。誰かに気づかれる前に、急いで身を翻して立ち去った。
病院から急いで出ると、安藤若菜は木にもたれかかり、激しく息を切らした。
雲井陽介が意識を失ったまま病床に横たわっていることを考えると、彼女の心は痛みに満ちた。彼はとても優しく素晴らしい人なのに、彼女のせいでこんな状態になってしまった。
できることなら、昏睡状態で横たわっているのは彼ではなく、自分であればいいのにと思った。
ゆっくりとしゃがみ込み、安藤若菜は両手で顔を覆うと、指先はすぐに涙で濡れた。
過去数年間を振り返ると、彼女の身に起きたことはあまりにも多かった。藤堂辰也と知り合って以来、平穏な日々は一度もなかった。