第33章

葉野宿白の顔にもう一本の黒線が走った。この男は本当に男なのか？声がやや低くて柔らかいだけでなく、おしゃべりで噂話好き、人の邪魔をしていることに気づかず、さらにミルクセーキが好きだ。

彼はその凛々しさの中に秀麗さを帯びた小さな顔を見て、剣のような眉を少し上げ、黙って認めた。彼はこのタイプの人間が嫌いだったが、彼は千雪の友人だったので、断ることができなかった。

彼らが注文したセットが給仕によって運ばれてきた。葉野宿白は礼儀正しく自分の牛肉セットを萩原天凡に譲り、給仕に再び注文した。

「ありがとう、葉野社長」天凡は大声で叫び、すぐに周りを気にせず豪快に食べ始めた。まるで活発な少年のようだった。向かいの葉野宿白を驚かせ、千雪も彼に謝るような笑顔を向けた。

しばらくして、葉野宿白の食事が運ばれてきたとき、千雪はようやく心ここにあらずといった様子で小さな一口の魚肉を口元に運んだ。しかし魚肉を口に入れる前に、胃の中で波が逆巻くような吐き気が突然心に押し寄せてきた。彼女は急いでナプキンで口を覆った。