第125章

「辰彦、まさか私のことをそんなによく分かってるなんて思わなかったわ。私は冷泉邸で大人しく妊娠生活を送るつもりはないの。今はまだ妊娠2ヶ月ちょっとだから、仕事に影響なんてないわ……私は冷泉家で足場を固めたいの。実は義母が将来、私に子供を連れて出て行けと言うんじゃないかって怖いの……」

冷泉辰彦は静かに彼女を見つめ、グラスの酒を一口飲んだ。「君はよく考えているね。でも安心して、辰浩の10パーセントの株はすべて君の名義に移されている。君が立つ場所がなくなることはない。君自身が冷泉家を、私たちを離れたいと思わない限りは」

「辰彦」雲井絢音の瞳が輝いた。「あなたは私が父の仇を討つために辰浩に近づいたんじゃないかって疑わなかったのね。あなたは私を信じてくれてる、そうでしょう?だから私の過去を秘密にして、私が山本鉄七と共謀していないと信じてくれたのね……」