第192章

「やめて!」麗由は彼の手を振り払い、興奮して言った。「私は則安だけを愛しているの。彼と結婚したいだけ。彼以上に私に相応しい人はいないわ!他の人が私に近づくのは、私が冷泉家の三女だからよ。彼らは冷泉家を目当てにしているの。でも則安は違う。彼は名誉や利益を追い求めない、誠実な人なの……」

「でも彼はもう好きな人がいるんだぞ、なぜまだ執着するんだ!」冷泉辰彦は怒鳴った。どんどん深みにはまっていく妹を叩き起こしたかった!

麗由は泣き出し、高い声で言った。「お兄さんだって同じじゃない?お兄さんは千雪を愛して、彼女のためなら火の中水の中も行くでしょう。同じ愛なのに、どうしてその気持ちがわからないの?お兄さんが千雪をどれだけ愛しているか、それと同じくらい私は則安を愛しているの。私たちは同じよ……お兄さんだって今でも諦めていないでしょう?なぜ私が諦めなきゃいけないの?則安がまだあの女と結婚していない限り、絶対に諦めないわ!」