第26章 彼の部屋の招かれざる客

電話がたくさんかかってきた。

本当に疲れていて、電話に出る気分なんて全くなかった。

そのまま電源を切って、横になるとすぐに眠りについた。

ぐっすりと深い眠りに落ちた。

夕方6時過ぎになってようやく目が覚めた。

空腹で目が覚めたのだ!

起き上がってシャワーを浴び、冷蔵庫を開けると中は空っぽだった。

コートを着て食事に出かける準備をし、ついでに携帯の電源を入れた。

さっきかかってきた電話を確認してみた。

リストには葉山夢愛、沢田書人、それに世樹兰、そして会社の部署の同僚からの着信があった。

一つずつ返信していった……

葉山夢愛に電話をかける気分ではなかったので、ショートメールだけ返した。

「何か用事?」

彼女はすぐに返信してきた。

「ああ、ニュースで田中兄さんが刺されたって見たから、状況を聞きたくて連絡したの」

「その通りよ!」

「ありがとう、もう状況は聞いたわ!」

その後、温井雅子に電話をかけた。

彼女は電源を切っていた。

本当に出張に行ったのかどうかもわからない。

そのすぐ後、沢田書人から電話がかかってきた。

「時間ある?ちょっと話したいんだ!」

「いいわよ!」

ちょうどお腹が空いていたし、誰かと一緒に食事するのは構わなかった。

安くて美味しい大衆食堂を見つけて、いくつか家庭料理を注文した。

沢田書人は顔色があまり良くなさそうだった!

まるで大きなショックを受けたかのようだった。

冷えたビールを一本頼み、グラスに注いで彼に渡した。

「僕、お酒飲めないんだ!」

彼の頬が少し赤くなった。

「大丈夫よ、アルコール度数は低いし、人は皆、できないことからできるようになるものよ……」

大学を卒業したばかりの学生は、確かにお酒を飲めない人が多い。

でもこの世界で生き抜くためには、男の子はいくつかの社交術を身につけなければならない。例えば、お酒を飲むことだ。

これが酒席文化の第一歩で、ビジネスを成功させたいなら、お酒が飲めなければならない。

もちろん、私が沢田書人にお酒を勧めたのは、目的があったからだ。

沢田書人はまだ純粋で、私に対して警戒心がなかった。突然、自分に罪悪感が湧いてきた。いい男の子を悪い方向に導いているのではないかと。

「さあ、飲みましょう!」

私はお酒を勧めた。