深夜、葉山夢愛は感情を爆発させていた……
「田中遠三があなたにあんなに優しくしてくれたのに、どうして手を下せるの?あなたは本当に毒蛇のような心を持った毒婦よ!」
「彼が死んだら、あなたも良い目を見ないわよ!」
私は分かっていた、ついに事件が発覚したのだ。
電話を切った後、しばらくの間、私の頭は麻痺していた。
葉山夢愛さえも私が毒を盛ったことを知っているなら、おそらく明朝には警察が私を逮捕しに来るだろう。
「どうしたの?」
伊藤諾は私の感情の変化を感じ取った。
「あの、田中遠三がもうすぐ死ぬかもしれない、私は刑務所に入ることになるわ……」
伊藤諾はそれを聞いても少しも心配する様子はなく、むしろ笑った。「それでそんなに憂鬱になってるの?」
「私は刑務所に入るのよ、聞いてわからなかった?」
「君は刑務所に入らないよ!」
「はっ、前世では経験しなかったことを、生まれ変わって体験することになるなんて、本当に冗談みたいね。」
「祐仁、言ったでしょう、君は刑務所に入らないって!」
「田中遠三が今死んだら、私が刑務所に入らないわけがないでしょう。そう、今じゃなくても、明朝には入ることになるわ。」
「祐仁、落ち着いて、僕が君を陥れると思う?」
「どういう意味?」
「誰が彼が死ぬって言ったの?自分で先に混乱しないで!」
「でも、彼は毒の入ったコーヒーを飲んだわ、死ぬはずよ。」
「安心して、彼は死なないから!」
「なぜ?」
私の慌てた様子を見て、伊藤諾は引き出しを開け、中からビタミンCの入った薬瓶を取り出した。
私の目の前で、彼は瓶の底で錠剤を粉々に砕き、それから白い紙を一枚破って、その粉末を包んだ。
「これはどういう意味?」
「これが僕が君にあげた薬だよ!」
「つまり、あなたが私にくれたのはビタミンの粉末だったの?」
「そうだよ!」
こんな話を聞いて、私は発狂しそうになった。
「伊藤諾、あなた何をしてるの?こんなことで人が死ぬかもしれないって分かってる?」
「このバカ、僕が本当に君に田中遠三を毒殺させると思ったの?僕はただ君の決意を見たかっただけだよ。良かった、君は今や田中遠三に手を下す勇気がある、これは君がもう彼に対していかなる幻想も抱いていないということだ!」
「わかったわ!」