「はい!」
「はい?何がはいなの?それとも...あの出会いはあなたが仕組んだの?」
「全部そうだよ!」
「つまり、あなたは一度も祐仁を愛したことがなくて、ずっと彼女を利用していただけなのね?」
「そうだ、全部そうだ、これで満足か?」
田中遠三の告白を直接聞いて、私は涙が止まらなくなった。
なんてこと、私は田中遠三と10年間愛し合っていたと思っていたのに、全て私の思い込みだったなんて。
結局、私たちの間に愛情なんて存在しなかったのだ。
最初から最後まで、ただの騙し合いだった。
彼は一度も私を愛していなかった。
ふふ......
田中遠三の姿が徐々に遠ざかっていく。
温井雅子はようやく階上に戻ってきた。
彼女は私を慰めながら言った。
「祐仁、あまり悲しまないで。クズ男はクズ男よ、彼のために悲しむなんて価値がないわ」