第138章 真実か挑戦か

「まあ、好きに言えばいいわ!どうせ来週の金曜日の記者会見で、あなたも分かるわよ」

エレベーターのドアが開き、葉山夢愛はエレベーターから出て行った。

私はしばらく頭が回らず、エレベーターのドアが閉まり、再びゆっくりと上昇していくのを見ていた。

どれくらい時間が経ったか分からないが、ようやく我に返った。

「松岡さん、あなたここで三回も上下してるけど、どうしたの?」

久保雲子が私の様子がおかしいことに気づき、声をかけてきた。

「ああ、ちょっと考え事をしていたの!」

「松岡さん、最近仕事で疲れすぎじゃないですか?ちゃんと休めてないみたいですね。会社の業績も明らかに良くなってきてるんだから、体調にも気をつけないと」

「大丈夫よ、心配してくれてありがとう!」

エレベーターを出ると、外はもう暗くなっていることに気がついた。

腕時計を見ると、もうすぐ6時だった。

そこで思い出した、温井雅子と夕食の約束をしていたんだった。

実は今夜は集まる気分ではなかった。

彼女にメッセージを送った。

「今夜はやめておこうかな」

「伊藤諾がここにいるわ、前回あなたが持ってきた薬の検査結果が出たって」

「わかった、すぐ行くわ」

「水色レストラン、9号個室よ、待ってるね!」

その薬は前回、叔母の五十嵐麗子の家で見つけたもので、伊藤諾に頼んで調べてもらっていた。

今、結果が出たようだ。

私はためらわず、すぐに車でレストランへ向かった。

30分後、温井雅子が予約した水色レストランに到着した。

このレストランは初めて来たが、特徴的なのは水上レストランだということだ。

川沿いに大きな船が停泊しており、船上は明るく照らされていて、とても新鮮だった。船に乗り、9号個室のドアの前に来た。

この個室のドアもとても面白く、木彫りの大きな鯉が彫られていた。

ノックしても誰も応答がなかったので、そのままドアを押して中に入った。

驚いたことに、個室の中は真っ暗で、誰もいなかった。

私が戸惑っていると、突然灯りがついた。

それはキャンドルの灯りだった。

ケーキの上のろうそくが、ゆっくりと私の前に運ばれてきた。

ケーキを持っていたのは温井雅子だった。

「願い事をどうぞ!」

「えっと...私の誕生日は昨日よ!」