その後、田中遠三は住所を送ってきた。
ちらっと見たところ、ホテルではなかったので、やっと安心した。
「わかった、すぐに行くわ!」
携帯をバッグに入れて、伊藤諾に言った。「行かなきゃ」
伊藤諾は手を伸ばして私の手を止めた。
「こんな遅くに!彼に会いに行くな!」
「仕事の話よ、伊藤諾、少しは道理をわきまえてよ!」
「どんな仕事も明日まで待てないのか?」
「伊藤諾!!」
「どんな理由があろうと、何があろうと、一つだけ覚えておけ、田中遠三はクズ男だ!」
伊藤諾は私の腕に沿ってゆっくりと立ち上がり、彼の瞳が深遠になった。
「祐仁、俺はすでに一度お前を失った。二度と失いたくない」
この言葉を聞くと、なぜか胸が痛む……
待って、これは田中遠三が言うべき言葉じゃないの?
私はそれを聞いて笑い、容赦なく彼の本音を暴いた。