第165章 彼は私を陥れた

その後、田中遠三は住所を送ってきた。

ちらっと見たところ、ホテルではなかったので、やっと安心した。

「わかった、すぐに行くわ!」

携帯をバッグに入れて、伊藤諾に言った。「行かなきゃ」

伊藤諾は手を伸ばして私の手を止めた。

「こんな遅くに!彼に会いに行くな!」

「仕事の話よ、伊藤諾、少しは道理をわきまえてよ!」

「どんな仕事も明日まで待てないのか?」

「伊藤諾!!」

「どんな理由があろうと、何があろうと、一つだけ覚えておけ、田中遠三はクズ男だ!」

伊藤諾は私の腕に沿ってゆっくりと立ち上がり、彼の瞳が深遠になった。

「祐仁、俺はすでに一度お前を失った。二度と失いたくない」

この言葉を聞くと、なぜか胸が痛む……

待って、これは田中遠三が言うべき言葉じゃないの?

私はそれを聞いて笑い、容赦なく彼の本音を暴いた。