もともとこの少女はとても愛らしい顔立ちで、さらにその柔らかく甘い小さな声と、潤んだ無邪気な大きな瞳が加わると。
私はその場で思わず彼女を抱きしめそうになった。
しかし、そのとき、私の背後から声が聞こえた。「あら!」
振り返ると、一人の女性が部屋から出てきたのが見えた。きちんとした服装で、穏やかな雰囲気を持ち、年齢と容姿から見て、少女の母親に違いなかった。
どうやら、この少女は先ほど私を呼んでいたのではなく、彼女の母親を呼んでいたようだ。
「あ、紹介するのを忘れていた。こちらは義姉の河野恵美…」
伊藤諾がようやく私に紹介した。
「ママ!」
少女は女性を見ると駆け寄り、甘い声で呼びかけた。
女性は少女を抱き上げ、彼女の頬にキスをした。
「あなた、上手に弾けたわね。」
「ママ、いつバースデーケーキ食べられるの?」