第159章 あなたの手を借りる

「葉山夢愛が田中遠三に薬を盛ったということですか?」

倉科は申し訳なさそうに、やむを得ず頷いた。

「すみません、松岡さん。私は事前に知っていましたが、言えませんでしたし、言う勇気もありませんでした。」

「よくもそんなことを...田中遠三がこのことを知ったらどう思うのか、本当に知りたいわ。」

「松岡さん、田中社長のところに行って暴露するのはやめた方がいいですよ!」

倉科は私を止めた。

「あなたはまだ彼女をかばうの?言っておくけど、田中遠三はとても賢い人よ。葉山夢愛が彼に薬を盛って害しようとしたと知ったら、絶対に許さないわ。」

倉科は首を振った。

「いいえ、まず最初に困るのはあなたです!」

「なぜ?」

「彼女はあなたの手を借りて薬を盛ったからです!」

「私の手を借りて?」

私はすぐには理解できなかった。葉山夢愛がどうやって私の手を借りたのか。