「葉山夢愛が田中遠三に薬を盛ったということですか?」
倉科は申し訳なさそうに、やむを得ず頷いた。
「すみません、松岡さん。私は事前に知っていましたが、言えませんでしたし、言う勇気もありませんでした。」
「よくもそんなことを...田中遠三がこのことを知ったらどう思うのか、本当に知りたいわ。」
「松岡さん、田中社長のところに行って暴露するのはやめた方がいいですよ!」
倉科は私を止めた。
「あなたはまだ彼女をかばうの?言っておくけど、田中遠三はとても賢い人よ。葉山夢愛が彼に薬を盛って害しようとしたと知ったら、絶対に許さないわ。」
倉科は首を振った。
「いいえ、まず最初に困るのはあなたです!」
「なぜ?」
「彼女はあなたの手を借りて薬を盛ったからです!」
「私の手を借りて?」
私はすぐには理解できなかった。葉山夢愛がどうやって私の手を借りたのか。