私は田中遠三に対して常に抵抗の心構えを持っていた。
だから、彼のどんな決断に対しても、私はまず最初に反対していた。
「田中社長、こんな遅い時間ですから、適当なゲストルームで休ませていただきます」
「まだ早いよ、今は寝る時間じゃない。明日一日休暇を出してあげるから」
彼は私に退く機会を全く与えず、相変わらず強引に私を連れて階段を上がった。
この部屋は、実は以前に来たことがあった。
ここには多くの記憶がある。すべて私と田中遠三に関するもので、思い出したくもないし、触れたくもなかった。
私の足は入り口で止まった。
「田中社長、あなたの奥様はもう亡くなっているのに、今私を連れて彼女の部屋に入るなんて、少しも違和感を感じないんですか?」
彼は振り返って私をちらりと見て、手を伸ばして私を寝室に引き入れ、ドアを閉めて明かりをつけた。