温井雅子は宝田玲子と一緒に来たの!
インタビューの間、温井雅子も隣に座って終始付き添っていた。
宝田玲子が私に質問をした時、私はまったく躊躇わなかった。たとえ落ち込んでいる人を踏みつけることになっても、今の私は背水の陣で臨む覚悟だった。
かつて自分が心血を注いで臻一株式会社を立ち上げたように、今度は少しずつそれを破壊するつもりだ。
インタビューが終わった後、私は平静な表情を保っていた。
しかし宝田玲子はとても興奮していた。
「長年ついに誰かが田中遠三を懲らしめる人が現れたわ!正直言うと、業界の多くの人から聞いたけど、臻一株式会社の社長である田中遠三は手強い相手で、誰も彼に手を出せないって。それに、この人は隙のない仕事をするから、ビジネスの世界では彼の弱みをほとんど見つけられないのよ。今回ついに彼の急所を突いたわね。これで彼がどう跳ね回るか見ものね」
温井雅子が立ち上がって尋ねた。
「玲子、このニュースはいつ放送されるの?」
「帰って確認するけど、たぶん今夜7時のゴールデンタイムに間に合うわ!じゃあ、先に行くね!」
宝田玲子は嬉しそうに帰ろうとした。
彼女にとって、注目のニュースを手に入れることで自分も有名になれるチャンスだ。滅多にない機会だ。
私も彼女に一言注意した。
「玲子、気をつけてね。危険があるかもしれないわ。田中遠三があなたを狙って人を送ってくるんじゃないかと心配」
宝田玲子はバッグから護身スプレーを取り出し、さらに首にかけたネックレスを手に取った。
「見て、これは小型カメラよ。彼が私に何かしようとしたら、ライブ配信されちゃうわ。私たちエンタメ記者は、スパイみたいなものよ。十八般の武芸とまではいかなくても、少しは身につけているわ。安心して、私たちの仕事はスリルを楽しむものなの。じゃあ、行くわ、バイバイ!」
「ちょっと待って!」
宝田玲子は自信満々だったが、念のため、私は会社のドライバーに彼女を送らせることにした。
途中で何か問題が起きないように。
すべてを終えると、もう5時過ぎだった。
温井雅子は鈴木誠一と電話で話していて、葉山夢愛のことについて議論していた。
私は窓際に歩み寄り、下を見下ろした。
携帯電話がまた鳴り、伊藤諾からの電話だった。
「薬は飲んだ?」
「うん、飲んだよ!」