第235章 プライバシー

及川雨子が今回デザインした雨子シリーズの漢服は、売上が爆発的でした。

私も才能を重視する人間なので、及川雨子には物質的な報酬だけでなく、昇進させてデザイングループのリーダーにしました。

彼女は私の認めを得て、同時に会社でもより自信を持つようになりました。

他の同僚たちも彼女をとても尊敬しています。

この時、この葉山夢愛が彼女に何をしに来たのでしょうか?

及川雨子はすぐに葉山夢愛に会いに行くのではなく、振り返って私の意見を求めました。

「松岡さん、私はもう葉山夢愛を三回断りました!彼女は電話をかけてきて、メールも送ってきて、さらにクラスメイトを通じて私を探してきて...あなたはどう思いますか?彼女に会うべきでしょうか?」

及川雨子は賢い女の子で、重要な場面では先に私の決断を尊重することを知っています。

私はこのような女性が好きです。分別があり、感謝の気持ちを知っていて、彼女には葉山夢愛のような浮ついた世俗的な感じが全くありません。

田中遠三は本当に目が見えていないのか、この葉山夢愛を選んだなんて。

「同業者であり、同級生でもあるなら、今後顔を合わせることもあるだろうから、会ってみなさい。彼女が何の用事で君を探しているのか見てみましょう。」

「はい!」

及川雨子がオフィスを出て行った直後。

私はゆっくりと後を追いました。

及川雨子を信頼していないわけではなく、ただ葉山夢愛が何か策略を弄するのではないかと心配だったのです。

案の定、ドアの外に立っていると、葉山夢愛が及川雨子に言っているのが聞こえました。

「田中社長が言ったわ、もしあなたが臻一株式会社に来てくれるなら、給料を倍にするって!会社の最高の福利厚生もすべてあなたに与えるって!雨子、私たちは同級生でしょう、私があなたを騙すわけないじゃない?」

及川雨子は断固とした態度で、

「松岡さんが私を信頼してくれたからこそ、この仕事をくれたんです。彼女がいなければ、私は今でも宅配便の配達をしていたでしょう!人は恩を知り、恩返しをしなければなりません。私は彼女を裏切ることはできません。」

私は少し口角を上げました。やはり、私の人を見る目は間違っていませんでした。

及川雨子は価値観がしっかりしています。

葉山夢愛はあきらめず、続けました。