第272章 何度も失望する

私の携帯が鳴っていた。手に取って見ると、見知らぬ番号で、一度鳴っただけですぐに止まった。

間違い電話だろうと思い、出なかった。

振り向くと、伊藤諾がまたあの二つの薬を持ってきた。

「この薬、忘れずに飲んでね!忘れないで!」

「健康食品じゃないの?たまに飲めばいいんじゃない?」

「あなたの胃腸があまり良くないと思うから、長期的な治療が必要なの。どちらにしても、この二つの薬には副作用がないから、安心して飲んで。できれば全部飲み切って、そうすれば体が完全に回復するわ」

彼は片手に注いだお湯を持ち、もう一方の手のひらに出した薬を私の口元に運んできた。

「わかった、飲むよ!」

口元まで運んでくれたのだから、当然受け取る。

「えっと、完全に回復って何?諾、そんな言い方すると、まるで私が大病を患っているみたいじゃない。ちょっとした胃の不調だけなのに!」