この夜、私はあまり安らかに眠れなかった。
夢の中で、誰かに刃物で追いかけられているようだった。私は東へ西へと逃げ回ったが、結局は逃げ切れず、岩の陰から引きずり出され、顔めがけて一刀浴びせられた。
その痛みがあまりにも生々しく、私は悲鳴を上げて夢から覚めた。
目を覚ました私は、汗びっしょりになりながら窓の外の漆黒の夜を見つめ、体が微かに震えていた。
ドアの外で足音が止まった。
「祐仁、悪夢を見たのか?」
伊藤諾の声がドアの隙間から聞こえてきた。彼はまだ眠っていなかったようだ。
私は喉をクリアして叫んだ。
「大丈夫、もう平気だよ!」
「薬を忘れないで、あの薬には安神作用があるから」
「ああ、わかった!」
そこで私は今日薬を飲み忘れていたことを思い出し、急いでベッドから降り、薬瓶を開けて数粒の薬を口に入れ、水で飲み込んだ。