夜、西山荘園に戻ると、私は一人でリビングに座り、窓の外の夜空をぼんやりと見つめていた。
今となっては。
田中遠三は私を追い詰めてしまった。
夜9時過ぎ、ドアベルが鳴った。
ドアを開けると、外には沢田書人と及川雨子の二人が立っていた。
及川雨子は目が赤く、どうやら泣いていたようだ。
沢田書人は及川雨子を支えながら家に入り、私に説明した。
「この馬鹿な子は、夜中に川辺で半時間も泣いていたんだ。それなのに、あなたに言うなって!」
そこで私は初めて知った。
及川雨子は罪悪感から、自殺を考えていたのだ。
沢田書人が車で彼女を迎えに行ったのだろう、きっと長い時間説得したに違いない。
「松岡さん、本当にごめんなさい。あなたは私を大切にして、明るい道を与えてくれたのに、今は私があなたを危険な目に遭わせてしまって。」