第366章 彼は毎晩夢に現れる

温井雅子は深いため息をついた。

「祐仁、実はもうそんなに年月が経ったのよ。真相はもう重要じゃないわ。どうせ田中遠三は...もう死んでしまったんだから。すべての恩讐は塵は塵に、土は土に返させましょう。あなたが知れば知るほど、後悔して、どんどん辛くなるだけよ」

「辛いのは辛いけど、一生自分を騙して生きていくのはごめんだわ」

「でも、田中遠三はもういないのよ。彼には両親も兄弟もいない。どこに真相を探しに行くの?」

温井雅子がそう尋ねた途端。

鈴木誠一が答えを出した。「彼には青木山のあのお寺にいる叔母さんがいるじゃないか?」

温井雅子はすぐに彼を蹴った。「あなたばかり賢くて、おしゃべりね。言わないと気が済まないの?」

私は温井雅子の腕を軽く叩いた。「大丈夫よ、彼の言うことは正しいわ。実は彼が言わなくても私は考えていたの。明日行ってみるつもりよ」

「祐仁、本当に必要ないわ。過去のことは過去のままにしておきましょう!」

私は温井雅子と議論しなかった。

私はとにかく白黒はっきりさせたい性格で、何事もはっきりさせないと気が済まない。

少しでもあいまいなことは許せない。

この夜食は長く続き、午前1時まで続いた。

温井雅子は酔ったと言い張り、私の家に泊まりたがった。

彼女が本当に酔っていないことは見て取れた。ただ口実を作って私に付き添いたかっただけだ。

私は彼女を引き止めず、彼女と鈴木誠一を家に帰らせた。

みんな大人なのだ。

どんなに辛い試練でも、自分で乗り越えられる。

この夜、私は眠れなかった。

ベッドの上で寝返りを打ち、枕を抱きながら何度も転がった。眠りたいのに、頭の中は異常に冴えていた。

夜が明ける頃になってようやく、うとうとと眠りについた。

しかし長くは眠れず、ドアベルの音で目が覚めた。

起きてドアを開けると、沢田書人が立っていた。左手には包装された朝食、右手には書類入れを持っていた。

よく見ると、それは私が車に置き忘れた、田中遠三からの手紙だった。

「こんなに目の下にクマができて、昨夜もよく眠れなかったの?」

「うん、不眠だったわ」

「私が思うに、及川先生が出してくれた薬を飲んでみたらどう?」

沢田書人は包装された朝食をテーブルに置いた。