第39章:私の名前を呼んで

まるで自分の家に入るかのように、主人の許可も得ずに、葉山大輔は大股で中に入った。

彼は今日、グレーのカジュアルウェアを着ていて、額には汗が浮かんでいた。どうやらジムから帰ってきたばかりのようだった。

傍らで呆然と立ちすくんでいる女性に懐中電灯を投げると、彼はベランダの隅に歩み寄り、何かを手早く引っ張った。

突然、家中が真っ暗になった。

「何ぼーっとしてるの!電球を交換してあげるんだよ。それとも自分でやる?」彼はリビングにいる黒い影に向かって叫んだ。まるであの愚かな女性を目覚めさせるかのように。本当に愚かだ。

賀川心は急いで懐中電灯をつけた。白い光が目の前の男性を照らし出し、彼女はその光源に沿って彼を見つめた。彼の顔にかすかに浮かぶ微笑みと、珍しい琥珀色の瞳を。

「葉山さん……」彼女は淡々と彼を呼び、表情は複雑だった。