空気中に火薬の匂いが漂っていた。
二人の男が睨み合っていた。一人は目が真っ赤で火を噴きそうで、もう一人は目つきが陰鬱で、恐ろしいほど深い。
葉山大輔は直接中に入った。すでに不機嫌だった顔に、今や疑惑と怒りが満ちていた。
「賀川心、この男は誰だ?」彼はソファに座っている動揺した女性を見て、遠くにいる深山義彦を指さした。まるで不倫現場を押さえた夫のように、彼は激怒していた。もちろん、彼が指さした男も同様だった。
賀川心はようやく入ってきたのが葉山大輔だと気づいた。彼女は頭を下げて自分の指をもじもじさせながら、心臓はリズムを失って鼓動していた。
彼女は立ち上がり、二人の恐ろしい男性をちらりと見ただけで、すぐに顔をそらした。
「彼は私の元...」
最後の言葉が口から出る前に、彼女の体はよろめいて男の腕の中に倒れ込んだ。