夜、葉山大輔は家に帰るとなぜか鍵が家のドアを開けられず、中から鍵がかけられているようだった。
「ママ、開けて……」彼は外から叫び、何度もインターホンを押した。賀川心に顔を長時間パックしてもらってようやく腫れが引いたのだ。そうでなければ、彼は帰ってくる勇気があっただろうか?
家の中でインターホンが鳴り続けていたが、中にいる人は眠ったふりをして、どうしてもドアを開けようとしなかった。
くそっ……
葉山大輔は思わず口走った。
彼の母親は本当にすごい、自分の息子を外に閉め出して一晩過ごさせるつもりなのか?身分証も持っていないのに、このまま路上で寝ろというのか?
5階まで走って行き、再び502号室のインターホンを押した。何度も何度も。
しかし、長い間押し続けてようやく中の人に聞こえたようだった。