太陽は相変わらず毎日東から昇り西に沈み、あっという間に寒い冬から暑い夏へと移り変わった。着ている服も一枚一枚と少なくなり、道行く人々は傘を差して歩いている。雨風を避けるためではなく、ただ照りつける太陽を遮るためだ。
あるビルの中で。
賀川心は妊婦が着るような海色の純綿のワンピースを着ていた。すでに妊娠35週(8ヶ月以上)の彼女は、お腹がとても大きく、さらに彼女自身が痩せ型だったため、その突き出たお腹はより大きく見え、どんなにゆったりとしたワンピースを着ていても隠しきれなかった。
今、彼女はオフィスに座って数枚の書類に署名していた。もちろん産休申請書なども含まれており、これらの手続きが終われば、彼女には5ヶ月近くの休暇が与えられる。
「全部記入できた?」デザイン部の部長である黒板辰夫が入ってきて、彼女の肩を軽く叩いた。