第92章:人気者

午後2時、賀川心は時間通りに夜都市民病院に現れた。彼女の手には、彼女が煮込んだばかりの鮒のスープがあり、新鮮で美味しく、栄養満点で胃を温める。彼女は二人分用意した。一つは葉山大輔のため、もう一つは葉山大輔のお母さんのためだった。

しかし、病室の前に着いたとき、彼女は奇妙な光景を目にした。

普段は静かな病室に、今は二人の見知らぬ人が立っていた。一人は男性、一人は女性で、年配の人と若い人、どうやら父と娘のようだった。その上品な服装から、夜都の名家の人々であることが分かった。

病室の入り口を見ると、今や一束また一束と新鮮な花が並べられ、すでに十数束もあった。病室のテーブルの上には果物や滋養のあるものが山積みになっていた。

外にはまだ数人が見舞いに来ようとしており、廊下で手に物を持って待っていた。さらに、黒い長いコートを着た四人の男性がおり、それぞれが大柄で、手を後ろに組んで立っており、用心棒かボディガードのように見えた。