第108章:去年の今日

深夜、雪の光がガラス越しに広々とした書斎を照らしていた。深山義彦は回転椅子に寄りかかり、眉間に深い皺を寄せていた。彼の右手にはまだタバコが挟まれており、それは半分ほど燃え尽きていた。

机の上にはタバコの空き箱が置かれていた。全て吸い尽くしたのだ。

何本吸ったのかもわからないほど、書斎は煙で霞んでいた。

傍らには家の使用人が運んできた食事があったが、彼は一口も口にしていなかった。喧嘩してから今まで、ほとんど水すら飲んでいなかった。

彼は立ち上がった。乾いた唇をきつく結んでいた。窓辺に歩み寄り、ガラス窓を一枚開けると、外からの冷たい風が一気に流れ込んできて、彼の顔に刃物のように当たり、骨まで冷え込むような寒さだった。

しかし彼は寒さを感じていないようだった。窓枠に手をついて、ただ外に舞い落ちる雪の結晶を見つめていた。一片また一片と、まるで永遠に止まることがないかのように。彼は手を伸ばして一片を受け止めると、その雪はすぐに彼の掌で溶けて一滴の水になった。