第124章:私と結婚して

一対の大きな手が突然彼女の腰に回され、男性の温かい胸が彼女の背中にぴったりと寄り添った。

「何を考えているの?」葉山大輔は彼女の頭に顎を乗せた。

賀川心は彼が戻ってきたことを知っていた。彼女は振り向いて、同じように彼の腰に腕を回し、習慣的に顔を彼の胸に寄せた。

「薬を飲んでいないの」と彼女は小さな声で言った。心の中には漠然とした不安があった。

幸せが急に訪れ、この数日間、彼女は自分が夢を見ているだけではないかと恐れていた。

葉山大輔は彼女を見下ろし、その眼差しは窓の外の月明かりのように、朧げながらも深い愛情に満ちていた。

「知っているよ」彼は彼女の背中をポンポンと叩き、手を伸ばして彼女を抱き上げた。近くのソファまで運んだ。

賀川心はテーブルの上に美しい箱が置かれていることに気づいた。箱には目立つロゴがあり、それは有名なジュエリーデザイン会社のマークだった。